ロレックスなどの高級時計の持ち主と、買えないけど使いたい!という人のシェアリングを仲介する「トケマッチ」による被害が大きな問題となっています。
預けた腕時計が返ってこないまま、運営会社が突然の解散をホームページ上で発表したことについて、衝撃がはしりました。
今回はトケマッチの被害を元に、色々と調べました。
有名な「ポンジスキーム」という詐欺手法についてもまとめましたので、今後自分が被害に遭わないための手助けになればと思います。
トケマッチと事件の概要
「トケマッチ」は、高級ブランド時計を月額制でレンタルすることができるユーザーと、高級ブランド時計を預託することで毎月の安定した収益を得ることができるオーナーを繋ぐサービスです。
購入するよりも経済的なサブスクリプションと、売却するよりも実利的なシェアリングエコノミーを掛け合わせた、新しい形の腕時計ライフをお楽しみいただけます。(引用:分・画像TOKE MATCH ホームページより)
ホームページ上でこのように説明し、さまざまな高級腕時計をオーナーから集め借り手にレンタルをしていた「トケマッチ」。
このトケマッチが2024月1月31日をもって合同会社ネオリバース(腕時計シェアリング事業トケマッチ)を解散すると、同社ホームページ上で突然発表しました。
これを皮切りに、時計が返ってこない、勝手に売却されていた、元社長が1月末に海外逃亡していた事が次々と明るみになりました。
これまでに分かっている被害だけでも全国13都府県、44件にのぼり、警視庁管内だけでも、売りさばいて着服した金は約1億円になるとみられています。
事態を重くみた警察は「トケマッチ」の運営会社「ネオリバース」の元社長・小湊敬済こと、福原敬済容疑者(42)を業務上横領で指名手配。
また、近くに国際手配される見通しです。
運営会社を調べてみた
運営会社は、大阪府大阪市に所在する合同会社ネオリバース。
ネオリバースの事業の1つとしてトケマッチがあります。
トケマッチの腕時計シェアリング事業のほかに、さまざまな不動産関係の事業を展開。
ホームページを見る限りはまともそうに見えますが、良く調べると従業員数は7人と、事業規模を考えると少ないと思うのは私だけでしょうか。
現在、ネオリバースの全ての事業は停止をしているようです。
元社長の行方と今後は?
小湊敬済こと、福原敬済容疑者(42)は1月末に成田空港から中東のドバイに逃亡しており、警視庁は計画的に逃亡したとみています。
日本は現在、アメリカと韓国の2国しか犯罪人引渡条約を締結していません。
なので今後の流れは、福原容疑者にパスポートの返納命令を出す→返納命令には期限があるので、期日までに返納しない場合には旅券(パスポート)は効力を失う→逃亡犯は旅券がない状態になるので、旅券のない状態の逃亡犯の引き渡しを各国政府に要請する流れをとると思われます。
このように、犯罪人引渡条約を結んでいない国であっても、個別に交渉して引き渡しが実現する場合もあります。
余談ですが、国外逃亡というとドバイを思い浮かべる人も多いと思いますが、理由はお金の持ち込み制限がない事が理由みたいです。
時計は返ってくるの?
ホームページにて、時計をレンタルしているユーザーに対して、書面やメールにて返却要請をしているようです。
腕時計の所有者に対しては明確な返却日が知らされておらず、6ヶ月を目安に発送手配を行う予定としていますが、何らかの事情で返却出来ない場合は、損害賠償の金額を支払うとしています。
ユーザーが素直に返却してくれればいいのですが、中には返却しないでトケマッチ側が横領したと言い張るユーザーも出てきそうな気がするのは、私だけでしょうか。
実際返却してくれたとしても、今度はトケマッチ側がオーナーに返却する確証もありません。
なぜなら、既にこのような事態になっているので、信用の「し」の字もありませんよね。
では、預けた時計はどこにいったのか?
所有者がトケマッチに預けていた時計が、世界的な高級時計専門売買サイトで出品されていたことがわかっています。
ドイツに本社を置く世界最大の高級時計専門売買サイト「クロノ24」は、「トケマッチ」に関連する時計が出品されていたことを公表しています。
シリアル番号などを元に所有していたことが証明できれば、返ってくる可能性もありますが、それでも確実とは言えません。
これらを考えると、所有者の方々には同情しますが、預けた腕時計が返ってくる見込みはかなり低いでしょう。
ポンジスキームとは?
ポンジスキームとは、投資詐欺の1つで、アメリカの天才詐欺師といわれた、チャールズ・ポンジがその名の由来です。
「出資を募り、運用益を配当金として支払う」と言って資金を集めます。
ただし実際の資産運用はなく、新しい出資者からの出資金を配当金として支払いながら、破綻することを前提にお金を騙し取る手法です。
投資詐欺被害のほとんどは、このポンジスキームの手法によるものです。一番有名な手法かもしれませんね。
ポンジスキームについては、マッチョライオンこと両学長が分かりやすく動画にしていますので、そちらも参考に。
今回のトケマッチは腕時計の所有者から出資(腕時計)を募り、運用益(レンタル料)を支払うモデルです。
どうでしょう?まんまポンジスキームですよね。
トケマッチのシステムは一見すると、投資家にとって非常に魅力的な利回りを提供してきました。
1つの例として、年間の利回りが約18パーセントになる腕時計があります。これはアメリカの著名な投資家のウォーレンバフェット氏の平均利回りに近い数値であり、表面上は非常に魅力的です。
ちなみに、安定したインデックス投資の配当利回りは約4〜5%なので、ものすごい高配当となります。
腕時計を預けるだけ(ローリスク)、安定した収益(ハイリターン)を得ることができると、多くの人が預けた結果、今回の事件となっています。
時計を預けるだけ=ローリスクと勘違いしてしまったんですね。
本来は、世界的にも人気があり、かつ1つ1つがとても高価な高級腕時計を誰かに預けるということは、返ってこない=超ハイリスクなことなんです。
普通で考えれば、これほどまでの高配当は詐欺では無いのか?と疑うところですが、そこがポンジスキームのおそろしいところなんです。
投資とは、どんなものであれリスクとリターンが1つとなって存在していること、どこまで行っても自己責任であることを十分に理解して取り組まないといけません。
被害に遭わないためには、リターンだけでなく、リスクについてもしっかりと考慮していかなくてはいけません。
そして、被害者にならないためにも知識を蓄え、「自分は大丈夫」と甘く考えないことが重要です。
まとめ
今回はトケマッチの事件について、まとめました。
主犯である福原敬済容疑者はドバイに逃亡しているため、いつ逮捕されるかわからない状況で、腕時計も被害に遭われた
方の元に戻ってくるかは、かなり微妙なところです。
運営会社も、電話・メールでの問い合わせに一切反応がない状態なので、解決までは長い道のりになりそうです。
ここまで被害が拡大した背景には、ポンジスキームという未だ現役の投資詐欺によってもたらされており、この作業手法のおそろしさが如実に出ています。
大切なコレクションや高価なものは、やはり自分の手の届く範囲に留めておくのに限ります。